学校保健安全法という法律により各市町村の教育委員会は、次年度より新しく小学1年生になる子供を対象に「就学時健診」または「就学前健診」といった名称の健康診断をおこないます。
時期はだいたい10~11月頃に実施されることが多いようです。
この就学時検診では、入学前の子供の健康状態を確認したり行動などを観察して、子供たちがよりよい小学校生活を送れるように、必要であれば治療や就学相談をすすめたりします。
我が家の長男も4月から学区内の公立の小学校に入学予定なので、「就学時健診」の手紙が届きました。
長男の場合は、既に「自閉スペクトラム症」と診断がついていますので、今後の長男の就学先を考えるうえで、就学時健診の結果もしっかりと把握する必要があります。
就学時健診は各地域や小学校によって状況は違うと思いますが、私が住んでいる地域の就学時健診の様子や、またその結果も含めて書いていきたいと思います。
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就学時健診の内容はどんなものなのか?
就学時健診は、受ける方(親子)は必ず受診しなくてはならないという義務や罰則はありません。
とはいえ、就学時健診によって普段親が気づかない部分、客観的な子供の様子を見てもらうことができ、相談することのできる数少ないチャンスでもありますし、先生方にとっても子供の様子を入学前に知っておけるので両者にとってメリットがあるものです。
就学時の健康診断では、子供の下記の健康状況を調べます。
- 栄養状態
- 脊柱の疾病及び異常の有無
- 胸郭の異常の有無
- 視力
- 聴力
- 眼の疾病及び異常の有無
- 耳鼻咽頭疾患の有無
- 皮膚疾患の有無
- 歯及び口腔の疾病及び異常の有無
- その他の疾病及び異常の有無(知能及び呼吸器、循環器、消化器、神経系等)
出典:学校保健安全法施行規則
一般的に就学前検査では、内科検診、視力検査、歯科検診、聴力検査、ことばの検査と簡単な知能検査のようなものがおこなわれることがほとんどです。
平成17年に発達障害者支援法が施行されたことで、健診で発達障害の早期発見にも気をつけるように書かれていますが、就学時健診の内容は各自治体や学校によって異なる部分もあり、知能検査が実施されていない場合もあるので十分ではありません。
知能検査については再検査になる子供に明確な基準があり、また問題を解くのに非常に時間がかかったり、あまりに間違いが多い子供はチェックされるので、知的障がいを持つ子は発達障害のある子に比べて就学時健診で発見しやすいようです。
ただし軽度、中度などの場合はやはり見逃される場合もあります。
そして発達障害のある子を発見する方法は、明確な基準がありません。
そのために就学時健診で子供の様子を検査者の感覚や経験に頼らざるを得ず、検査者の力量によって発見できるかどうか差が出てきます。
検診中は子供が検査を頑張ってしまうことで気づかれず、発達障害がある子供は見逃されることも多いといった問題点があるため、実際は就学時健診では発達障害がほぼ発見ができないといった状況もあるようです。
私が住む地域の就学時健診の内容
私が住む地域の就学時健診の内容ですが、学校保健安全法に書かれている検査項目を調べるために①歯科②視力③眼科④聴力⑤内科⑥知能検査を集団でおこない、最後に親子そろって教育相談の場が用意されていました。
長男の通う小学校では子供の人数が70人程度なので、子供たちは先生に誘導され、住んでいる地域の専門医により流れ作業的に各検査がおこなわれました。
最終的に、検査がすべて終わるまでに2時間ほどかかっています。
小学校によっては、子供達の誘導を次年度6年生になる5年生の上級生にまかせておこなわれたり、親と回る場合などがあります。
親と離れることに対して不安の強いお子さんは必要に応じて親子で回れるように配慮してもらうこともできるようなので事前に小学校へ相談しておくと良いですよ。
知能検査に関しては各市町村や学校によって「名前を聞かれる程度」「文字が書けるかのペーパーテスト」などの検査方法に違いはあるようですが、長男の場合は本人に聞いてみたところ、学力というよりも、「仲間外れはどれ」、「どっちが大きい」、「これなぁに」といった言葉の意味や類似、大きさなどの問題を聞かれただけの検査だったようです。
検査がすべて終わったあと、親子そろっての教育面談の場所で今回の検査結果を説明されています。
長男の場合の結果は、「異常なし」。
視力検査の結果で右の視力に関して0.7~0.9でB判定でしたが、判定結果に対しても医師から何か言われることはありませんでした。
参考までに、今回の就学時健診で子供が検査で気になる部分があった場合は、教育相談の後に再度面談を実施するために、親子が別室で待機していたという話を人づてに聞きました。
健診結果でひっかかると、その日のうちまたは別の日に再検査を実施する学校が多いようです。
就学時健診での細かい相談は難しい
就学時検診で教育相談があったので、長男について先生に少し相談したいなと思っていました。
ただ教育相談する場では、教室の外に他の親子が待機しています。
また先生から「何か質問ありますか」という問いに対して、「長男が発達障害と診断がついているのですが、小学校の入学前に細かい内容を相談をしたい場合はどうすればいいのか」と聞いてみたところ、すぐに校長室に移動になりました。
子供の人数が多い小学校では、教育相談などの相談できる時間が用意されていたとしても、あくまで簡単な相談のみにして、じっくり詳しい話をしたい人は別の日にもう一度時間をとってもらったりすべきだったかなと少し感じました。
ただしっかりと相談にのってくれる場合もあるようなので、就学時健診は各市町村や学校によって違うのでしょう。
就学時健診はあくまで、子供たちがよりよく過ごすための検査の一つ
長男は病院2カ所で「自閉スペクトラム症」と診断がついていましたので、小学校の就学時健診でも何か指摘されると思っていました。
ですが、実際に就学時健診で出た結果は「異常なし」。
就学時健診はあくまで小学校に入る前の子供の健診だと思うので、就学時健診で何かひっかかったとすれば、子供たちが小学校に入ってから大きな問題が起きる前に対処ができる機会の一つだと考えてもいいと思います。
ただ個人的に、発達障害の子供の発見やフォローは、長男がおこなったような就学時健診の内容では難しいのかなと感じました。
就学前検査の後に、私は小学校の校長先生とお話をさせていただきましたが、診断をもらっていること、実際に療育をおこなったうえで先生から「長男は黒板の文字を写すのが少し大変で時間がかかる可能性があるようです」と指摘されていると伝えても、「お母さん、小学校になってから先生がしっかりと丁寧に文字を教えてくださるから大丈夫ですよ」と返答されています。
また校長先生と話している間、長男は他の先生から借りたお絵かき帳とクレヨンに飽きたようで、校長室のソファーで飛び跳ねるということをしでかしてますが、校長先生は「このソファーは座り心地が悪いようで、子供はこんなものですよ」と笑ってくださいました。
知的に問題がない長男なので発達障害の部分がわかりづらいことや、また私の説明の仕方も悪かったため、あまりうまく伝えられずに校長先生との面談は終了しています。
たとえ発達障害があったとしても、就学前検診でひっかからないような場合も多いと考えられます。
これからの話ではありますが、文部科学省は発達障害を早期発見するため、2019年度小学校の入学者から就学時健康診断の実施方法を見直すといった話もあるようなので大きく変更があるかもしれません。
今はお母さんが子供の違和感を感じながらも、周りから「お母さんの考えすぎ」で片づけられてしまうケースも少なくないのかなと思います。
逆に発達障害という言葉だけが先行してしまって、なんでもかんでも子供たちのできない部分や問題行動ばかりに目が向いてしまって、診断つけば終わりといった診断名の一人歩きも怖いですが…。
私は長男が「自閉スペクトラム症」という診断がついていることは、保育所など限られた場所にだけ伝えてあり、必要がある時だけ長男をフォローをしてもらうことにしました。
長男の場合は発達障害といってもわかりづらいようですが、診断名がついたことで周りからのフォローは非常に受けやすくなったと思います。
なので、小学校にも長男の診断名がついていることを知ってほしいのではなく、長男は能力の凸凹などによって対応の仕方に工夫が必要な場合があることを知ってほしいのです。