車に乗るときに、「子供は大人と同じようにカウントするんだっけ?」「乗車定員はあっているのにチャイルドシートが乗せられない」「シートベルトの数が足りない」なんて思ったことはありませんか。
普段から車を運転する人でも、一度運転免許を取ってしまうと、細かい法律はすぐに忘れてしまって、「あれ?なんか、教習所で習ったような記憶があるんだけど・・・」と、頭を抱えてしまうことも少なくないと思います。
急に「友達の家族と遊びに行く予定ができた」「子供が孫を連れて帰省するので車で迎えに行きたい」「家族が増えた」という場合もありますよね。
大人の場合であれば人数をそのままカウントすればいいですが、子供は乗車定員の計算方法が違うので、子供を車に乗せるときの正しい定員数について知っておきましょう。
スポンサーリンク
普通自動車や軽自動車の乗車定員について
自動車の乗車定員数とは、言葉通り「車に乗れる人数のこと」を指しています。
だいたい乗用車(普通車)は5人乗り、軽自動車は4人乗りの車が一般的です。
その他にも1~2人乗りの小型自動車や、6~10人乗りなどの大型車もあるので、自分の乗っている乗車定員が曖昧な人は車検証を確認するとわかります。
参考までに我が家の場合は、車を下記の2台所有していて家族は大人が2人、子供が3人います。
- 夫の所有自動車・・・コンパクトカーで乗車定員が5名
- 私の所有自動車・・・軽自動車で乗車定員が4名
行く場所や乗る人数によって、その時々で使い分けて乗っていますが、夫のコンパクトカーなら乗車定員5人に対して、家族の人数も5人なのでいつ使っても問題はありません。
ところが、乗車定員が4名の私の軽自動車に、家族5人(大人2人と子供3人)が乗っても交通違反にならないんです。
なぜ、乗車定員数より人数が多く乗っているのに、交通違反にならないのでしょうか。
12歳未満の子供の車の乗車定員は数え方が違う
これは我が家の子供たちが12歳未満なことが関係しています。
車に乗車する人が12歳未満の子供の場合、大人と同じようにひとりずつ乗車定員を数えるのではなくて、違う方法で計算する必要があります。
計算方法は下記の通りです。
- 12歳以上の人・・・大人と換算して、1人を1とカウント
- 12歳未満の人・・・0歳から11歳までの人が対象となり、子供として換算
12歳未満の子供の乗車人数は、大人1人分を子供1.5人と同様と定めています。
当たり前ですが、子供と大人では体格の差がありますので、大人1人と子供1人は同じに扱わないことが法律で定められているのです。
また子供として扱えるのは、あくまでも12歳未満(0歳~11歳)の子供に限られていますので、子供が成長して12歳になったら、大人と同じように1人を1人分としてカウントする必要があります。
そのため我が家の車事情を例にすると、先ほど家族5人でも軽自動車の定員数を超えないと書きましたが、一番上の子供が12歳の誕生日を迎えたときに、大人が3人子供が2人となるので人数の変更が生じて軽自動車の乗車定員をオーバーしてしまうようになるのです。
乗車定員は、十二歳以上の者の数をもつて表すものとする。
この場合において、 十二歳以上の者一人は、十二歳未満の小児又は幼児一・五人に相当するものとする。
引用:道路運送車両の保安基準【2003.09.26】第 53 条(乗車定員及び最大積載量)
道路運送車両の保安基準によれば、大人1人の場合と子供が1.5人の場合が同じと考えると書かれていますが、大人1人分=子供1.5人分って、わかりづらいですよね。
簡単に子供の乗車定員がわかる方法はないか調べてみました。
子供の乗車定員の計算方法
子供の乗車定員は、このような計算方法で出すことができます。
【子供が乗れる人数の計算方法】
小数点以下は切り捨て。
少しわかりづらいので、例をのせておきます。
【例①】乗車定員数が4人の軽自動車の場合、大人2人が乗るときの、子供が乗れる人数は?
計算式…(4-2)×1.5=3
結論…子供の数が3人、大人の数が2人の場合、乗車定員が4名の車に乗ることはOK!
計算するのは、ちょっと面倒くさいという人は、下の表を参考にしてください。
子供が2人までは、大人の数と変わらないけれど、子供の数が3人以上になると大人が乗るよりも多く乗れるようになります。
0歳児の赤ちゃんはどうやって計算すればいいの?
ここで、子供ではなく0歳児の赤ちゃんの場合はどのように定員数を計算すればよいのでしょうか。
赤ちゃんは出生後28日未満を「新生児」、出生から1歳未満は乳児と呼びますが、道路運送車両の保安基準によれば12歳未満はすべて、「小児または幼児」としての扱いとなります。
なので0歳の赤ちゃんでも、12歳未満の他の子供と同じように「小児または幼児」として人数にカウントする必要があります。
赤ちゃんは体系が小さいですが、生まれたばかりの赤ちゃんでも子供として扱います。
自動車の乗車定員数をオーバーしたらどうなる?
もし車の乗車定員数をオーバーしてしまった場合は、運転手のみに罰金6,000円(普通自動車)と基礎点数が1点プラスされます。
また乗車定員オーバーで警察につかまった場合は、つかまったその場で定員を超えている人数だけ降ろされたり、事故が起きたときに保険金が支払われない可能性があります。
乗車定員数はあってるけど、チャイルドシートが乗らない
12歳未満の子供は大人よりも少ない人数として扱われることがわかりましたが、それゆえに「チャイルドシートが場所をとってしまって乗らない」という問題に直面することがあります。
平成12年4月1日から6歳未満の子供は、チャイルドシートを着用する義務がありますので、6歳未満の子供を車に乗せるときには必ずチャイルドシートが必要なのでどうしたらよいか困りますね。
我が家の場合は子供が4歳 2歳 0歳なので、全員にチャイルドシートを着用する義務がありますが、チャイルドシートはコンパクトなものでも横幅が大きく場所を取ってしまいます。
そうなると乗車定員はきちんと守られているのに、チャイルドシートがつけられないので、やっぱり子供を乗せられないという状況になります。
ですがここで法律をもう一度確認すると、道路交通法第71条の3でチャイルドシートの使用義務が免除される場合がありました。
幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。以下この項において同じ。)を当該乗車装置に乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
6歳未満でも体格が良くてチャイルドシートが合わない子供や病気の子供の場合、またやむを得ない理由がある場合は、チャイルドシートは着用しなくてもいいですよって書いてありますね。
でも乗車定員については触れられていないですし、乗車定員が守られているけど、チャイルドシートが乗せられない場合は、その他政令で定めるやむを得ない理由にあてはまるのでしょうか。
この質問に対しては、神奈川県警のサイトがきちんと明記してくれていました。
乗車定員の範囲内でチャイルドシートを使用すると全員が乗れなくなるときは、チャイルドシートは免除されます。しかし、乗車させる全ての子どもについて使用義務が免除されるのではなく、可能な限り多くのチャイルドシートを使用させる必要があります。
乗車定員数を守っていて全員が乗れないような場合においては、できる限りのチャイルドシートを乗せれば、乗らない分に関してのみ使用義務が免除されるとのこと。
なので我が家の場合であれば、軽自動車(定員4人)の乗車人数が守られているので、子供たちのチャイルドシートを2つ乗せたら、乗せられない1つ分は免除されます。
ただあくまで、チャイルドシートが乗らない分に限り免除がされているだけであって、チャイルドシートが乗せられる分は乗せる必要がありますので注意してください。
仮に上記のような例外以外で、チャイルドシートをつけられるのに、チャイルドシートの義務を守っていなかった場合は、幼児用補助装置使用義務違反により基礎点数1点となります(罰則金はなし)。
乗車定員数があってるけど、子供のシートベルトが足りない!?
チャイルドシートは乗車定員数を守っていて、チャイルドシートは乗せられない分に関しては免除されるので、ここまでは軽自動車で大人2人と子供3人が乗っても大丈夫!
と思いきや、またもや次の問題が発生します。
軽自動車は座席が4つしかないので、チャイルドシートは2つ乗せて、1つは免除になったとしても、そもそも4人の乗車定員に子供を含めて5人乗っているのでシートベルトが足りない・・・。
これは困ったということで、もう一度道路交通法施行令を確認してみます。
運転者席以外の座席の数を超える数の者を乗車させるためこれらの者のうちに座席ベルトを装着させることができない者がある場合において、当該座席ベルトを装着させることができない者を運転者席以外の乗車装置(運転者席の横の乗車装置を除く。)に乗車させるとき(法第五十七条第一項 本文の規定による乗車人員の制限を超えない場合に限る。)
読んでみたところ、シートベルトはチャイルドシートと同様、乗車定員数が守られていれば、足りない分のシートベルトは着用義務を免除されています。
運転席には運転する人しか乗らないはずなので、もちろん免除にはなりませんが、運転席以外の場合でシートベルトが着用できない理由があれば免除される場合があるようです。
ただ法律的には免除される可能性があるといえど、車によっては助手席に関していえば、人が乗っているのにも関わらずシートベルトがされていないと(または物を置くだけでも)警告音が鳴る場合がありますし、何より危険です。
結果:軽自動車(定員数4)でも、12歳未満の子供を含めると5人乗ることができる
今までの内容をまとめてみると、
- 12歳未満の子供は乗車定員を、小児又は幼児として扱うので計算方法が違う
- 子供の乗車定員の数え方は、大人1人を子供1.5人として計算する
- 6歳未満の幼児は、チャイルドシートの着用が義務付けられている
- チャイルドシートが体に合わないような(太りすぎているなど)場合や乗車定員数は守られているけどチャイルドシートを設置する場所がない場合は、例外として着用義務が免除される
- 乗車定員数を守っているが、シートベルトが足りない分に関しては着用義務を免除される
ということがわかりました。
我が家の軽自動車(定員4人)の場合に、大人2人、子供(12歳未満)が3人で乗ると・・・
- 12歳未満の子供の数が3人なので2人とカウントされ、大人2人を足しても、乗車定員が4名と乗車定員数が守られたことになるのでOK!
- チャイルドシートを3個つけると、大人が1人乗れなくなるので、乗らない1つだけチャイルドシートを免除してOK。
- シートベルトの着用も足りない1つ分だけは、シートベルトの着用を免除してOK。
ということなりました。
とはいえ法的には問題がなくても、安全上の問題があるのでおすすめはしません。
また、警察庁のサイトによれば”チャイルドシート不使用者の死亡重傷率は使用者の約2.1倍”と書いてありますので、子供の命を守るためにもできるだけチャイルドシートやシートベルトは着用すべきだと思います。
ただ、どうしても急な用事などで、乗車定員数が守られていても、チャイルドシートやシートベルトが使えない状況ってあるのではないかと思います。
そんなときは、運転手さんはいつも以上に安全運転をしてくださいね。
また子供がしっかり座っていなかったり、席にしっかり座って抱えていたとしても、小さい子供は急ブレーキなどがかかったときに思った以上に危険ですので、お父さんお母さんなどがしっかり守ってあげてください。
「道路交通法」と「道路運送車両の保安基準」の乗車定員について【2018年1月12日追記】
この記事を読んでいただいた方からメールで以下の内容の質問をいただきました。
この質問をいただいてから、最寄りの警察署に電話で確認してみました。







さらに国土交通省のページにて「道路運送車両の保安基準」を再度確認してみました。
自動車:道路運送車両の保安基準(H29.06.22. 現在) - 国土交通省
第53条は削除されていませんよね。
「道路交通法」ではなく「道路運送車両の保安基準」の53条です。
別のものになりますので誤解のないように記載しておきます。
-
-
2歳差でのチャイルドシートの選び方
車を日常的に使っている家庭ならば、子供が生まれるたびに増えるチャイルドシート。 2人目や3人目の子供が生まれたら、親としては「上の子供にジュニアシートを新しく買って、下の子供にはお下がりで今のチャイル ...