自閉症

発達障害の子供への視覚支援ー家族全員が理解できる自作カレンダー

更新日:

rawpixel / Pixabay

6歳の長男が療育に通い始めてから半年が過ぎようとしています。

療育の先生には、前々から『予定(活動の流れ)』や『手順(活動のやり方)』を自分の目で見て理解して、主体的・自立的に活動する力を育むためにも、自宅で「長男君にスケジュールを作って見せてください」と言われていました。

視覚支援の方法にも色々とありますが、先生からすすめられたのは

  • 1日のスケジュール
  • 月間スケジュール(もしくは週間スケジュール)

の2つでした。

スポンサーリンク

 「わかりやすい」環境を作るためには構造化が必要

発達障害のある子供には「わかりにくい」を「わかりやすい」環境に変えることで、自分でできることを増やしていくことが大事だと教えてもらいました。

私たち夫婦には「わかりやすい」環境を作るための方法がわかりません。

自閉症児のための絵で見る構造化―TEACCHビジュアル図鑑 (学研のヒューマンケアブックス)を読み、自閉症児への支援の方法として「視覚的構造化」があることを知りました。

視覚的構造化の実際は、子どもに「自分は今、どこで何をどれだけすることが期待されているのか、それが終われば次に何が期待されているのか、あるいは自分は何をすることを希望できるのか」など、環境への積極的な適応のしかたを自覚することができるように援助するものである。

自閉症児のための絵で見る構造化ーTEACCHビジュアル図鑑(学研のヒューマンケアブックス)より

よくわからないながらも、夫と自宅を構造化していこうと試行錯誤の日々が始まりました。

子供たち(長男と長女)が大人用のカレンダーを見ながら「今日はどの日なの?」「お休みはいつなの?」と聞いてくることがあったので、発達障害のあるなしに関わらず「家族全員が理解できるカレンダー作り」をスタート。

療育の先生から「カレンダーは1~2週間だけでもいい」と言われましたが、我が家の場合は、長男が月に1回の療育を楽しみにしていたことや、普段は予定があまり入っていないこともあり1か月分のカレンダーの試作を始めました。

家族全員が理解できるカレンダーの作成

市販のカレンダーは断念

最初は月のカレンダーをわざわざ作らなくても、市販のカレンダーにひらがなで予定を書いて使おうと考えました。

しかし6歳の長男はひらがなを読むことができますが漢字は読めませんし、4歳の長女はひらがなを全部読めません。
2歳の次女はそもそも文字が読めないので、子供たちの理解度に合わせる場合、個別にカレンダーを作る必要が出てきます。

そのうえ、病院に行く日や会社に行く日など、一人ひとりの予定が違います。
お父さんは~、長男は~と個別の予定を市販のカレンダーに絵も文字もいれていくとどうしても見づらいし、枠内におさまらないので、市販のカレンダーを使うのは断念。

家族全員が理解できるカレンダーにするために機能水準の低い子供に合わせる

家族全員が理解できるカレンダーを作るためにも、自閉症児のための絵で見る構造化―TEACCHビジュアル図鑑 (学研のヒューマンケアブックス)の佐々木先生が書いているように「もっとも機能水準の低い子供に基準を合わせて用意」し、なおかつ見やすいカレンダーを作ろうと考えました。

我が家の場合、もっとも機能水準の低いのが文字の読めない2歳の次女です。

2歳の次女は、文字や数字は読めませんが、言葉の理解が進んできており、現在はイラストや写真なども理解できる部分が多くなってきました。

次女はかなりのいたずらっ子なので、紙に絵を書いてしまったり、破いてしまうことも多々あり、耐久性があるものを考えて作ったのがこちら。

コピー用紙に数字やイラストを描いて、ラミネートで紙を強化したあと、ガラスの引き戸に、マジックテープ(面ファスナー)を使って貼っただけの簡単なもの。

左上には月、上には日~土の曜日をいれ、その下はカレンダー通りの日にちが貼ってあります。

予定や行事はイラストと文字で作ってあり、予定の端には予定を行う人の顔写真が貼られています。

カレンダー試作中の失敗点

上記の画像にあるカレンダーにたどり着くまでに、失敗した点が3つほどありました。

  1. 土曜・日曜を平日と同じ「黒」の文字で作った → 保育所のお休みの日が理解できなかった
  2. 「びょういん」などの予定を写真で作った → 何カ所かの病院の形が似ているために子供が把握しづらく、また病院で何をするのか理解できなかった
  3. マジックテープでなく、最初はイラストを両面テープで貼った → すぐに剥がれた

初歩的なことですが、すべて同じ色で数字を書くと子供たちは(大人も)理解しにくいので、数字の色は市販のカレンダーのように土曜は青、日曜は赤色で作るといいと思います。

また「びょういん」などの予定先を写真に使う方もいらっしゃると思いますが、我が家の子供たちの場合、その病院に行って”何(予防接種、診察、療育)”をするのかがわかりづらかったようなので、イラストに「注射器」「聴診器」「目」「耳」などを小さく提示するようにしました。

最後に両面テープはガラスの引き戸に貼れるのですが、予定の変更を繰り返していくうちに、ガラスからはがれてしまったためにマジックテープを使用することに。

家族全員が理解できるカレンダーを運用した結果、子供たちの成長が見られた

試作を繰り返していくうちに、一目見て、全員が1か月の予定を把握できるようになりました。

それ以外にも6歳の長男は保育所で、お当番の時に「〇〇ようび」が言えるようになったと喜んでおり、また日~土曜日の漢字の音読み、訓読みなど漢字を覚えることにつながりました。

4歳の長女も自分には関係なくても「お兄ちゃんの卒園式はいつかしら」「今日、お父さんはお仕事か」などと家族の予定を確認したり、習い事などの準備が自分で用意できるようになりました。

当日を表す花丸マークを、夜になると変えるお手伝いもしてくれます。

2歳の次女は予定をぺたぺた剥がして遊んでいましたが、そのうち「次女ちゃんもきょう、びょういんね」「にーに、ねーね今日はプール」と言って予定を理解しており、プールの日は手提げ袋に絵本を入れて待ち時間用の準備をしたりしています。

また居間のガラス引き戸に貼られているので、私も「今日はお父さん会社?」「保育所のお休みはいつだっけ?」と子供に聞かれても、すぐそばにあるので説明しやすいですし、予定が変わった場合は、そのイラストを別の日に張り替えるだけなので楽です。

カレンダーを運用するまでの「手間」が一番の難点

このカレンダーは1か月に1回、子供たちと一緒に予定の入れ替えさえすればよく、予定変更も簡単にできるので便利です。

しかし、作り終えるまでにコピー・ラミネートする手間と時間、マジックテープ(面テープ)代が1,000円くらいかかっています。

 

作成するにあたって、数字やイラストをA4用紙にコピーして一つずつ細かく切り、さらにA4サイズにラミネートをして細かく切る作業があるため、1つずつ切り離すのがとても面倒ですね。

ただ一度作ってしまえば、子供だけでなく大人もこのカレンダーに「飲み会」等の予定をポンと貼るだけなので、使い勝手はよいですよ。

ときどき遊びに来る義母などがこのスケジュールを見て「今日は予定があるのね」と早々と退散してもらえるなどの利点がありますが、お客さんがよく来るお宅の場合はお客さんに予定がバレます

子供たちが予定を把握できるようになった反面、良かれと思って予防接種などを早々と予定に入れてしまうと、当日まで子供たちがソワソワしてしまうこともあるので、そのあたりの配慮は必要です。

視覚支援としての「カレンダー」は役立つ

我が家では視覚支援になるようにと、長男だけでなく、他の子供たちにも使えるような物をいくつか作り始めています。

このカレンダーだけは多少手直しがあったものの、意外とうまくいっています。

カレンダーを使い始めてから、その日に何があるのかを子供たちが自分で見て、理解することができるようになりました。

私も「今日は何があるの」と、子供たちにその都度、何度も説明しないでいいのは助かっています。

長男が発達に凸凹があったので今回は視覚支援のためにカレンダーを作りましたが、長女・次女に関しても、自分でできるようにするために「見せる工夫」って大事だなとあらためて感じました。

子供たちが「構造化されていない場所」でも生きていくために・・・

仮に家庭環境をきっちりと「構造化」して整えられたとしても、社会に出るとわからない場所では「自分で考えて、どのように動かなければならないか」を求められる時もあります。

発達に凸凹がある子供たちにとって、わかりやすい(構造化された)環境が大事だと理解できていますが、今後「構造化されていない場所」でも子供たちが生きていくために、親としてどんなサポートをしていけばいいのでしょうか。

私が臨床心理士さんから言われた内容で、印象に残っていたものを下記に抜粋します。

「先生がいない間少しだけ座って待つ」という例を一つとっても、定型といわれている子供たちは、皆がやるからやるということはあるんですが、その前提として潜在学習とよく言うんですけど、察してやっていたりとか、先生がこういう顔をしてこう言う時は、こうなんだよなとか、キャッチしてやってることがみんな一緒だから、みんな一緒に見えるけど、一人一人の判断ってあったりするんですよ。

あと判断がずれていたりしても、微調整したりするんですが、発達障害があるとそれが難しかったりするので、お出かけするときは予定を必ず伝えるとか、見通しをもったり、役割を作ってあげたり、スケジュールを作って、自分でできることをうながしたりするのがいいです。

長男君は自分で判断するときに、みんながということではなく、視覚的情報をもとに判断する必要があります

定型の子供たちは自分たちで微調整して、環境に適応していける部分が多いけど、発達に凸凹がある子供たちの場合、想像力の弱さによって自分で考えるのが苦手なんですよね。

単純に「周りがやっているから僕も…」と真似して成長すると、そこに自分の判断はないから、後々周りが間違えたときなど一緒に間違えた道に進んでしまう。

だからこそ自分で考えてできることを増やし、自分で判断することを培うことが大事だと言われてた意味が今になって理解できた気がします。

今の我が家の子供たちは、自分で判断できるようになる為の準備期間。

子供たちの成長を実感することも多くなりましたが、まだまだ私から指示されることや荷物の準備を手伝ってもらうことに慣れて「受け身」な姿が多くあります。

この準備期間に自分で「わかる」「できる」を増やしていけるように、これからも試行錯誤していこうとあらためて思いました。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

-自閉症

Copyright© たまゆら暮らし手帖 , 2019 All Rights Reserved.