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発達障害の子供をもつ夫婦の離婚率が高いのは何でだろう?

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”自閉症の子をもつ夫婦の離婚率は80%”

公的な調査結果ではないようですが、UPIのニュースや、アメリカのテレビ番組「Parenthood」の中で「自閉症の子供をもつ夫婦の離婚率は80%」と取り上げられていました。

自閉症だけではなく、「障害のない子供をもつ夫婦に比べて、障害のある子供をもつ夫婦の離婚率は6倍」といった話や、海外では「アスペルガー症候群の配偶者をもつ夫婦の離婚率は80%」と配偶者や子供に発達障害の家族がいる場合は、離婚率が高いことがわかります。

 

私の長男も自閉スペクトラム症なので、この離婚率の高さを知った時には、明日は我が身かもしれないという不安を感じました。

健常児をもつ夫婦でも離婚になる可能性はありますが、なぜ障害児の子供をもつとこんなにも離婚率が高くなるのでしょうか。

また障害のある子供を持ちながら、夫婦で協力していくにはどのようにするといいのか考えてみました。

 

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発達障害児をもつ夫婦の離婚率が高くなる理由

発達障害児をもつ夫婦の離婚の原因は様々あると思いますが、なぜここまで離婚率が高くなるのかを考えてみます。

原因①:親自身の生活に制限がかかる

発達障害児をもつ夫婦の離婚率が高くなる原因を考えるために、まずは障害児をもつ親がおかれている状況を考えてみます。

下記は、文京区議会議員である海津敦子さんの公式ブログの抜粋です。

障害のある子をめぐる制度は「援助は親」を前提とした制度。親に対して、障害のある子を持った自己責任を求めているかのごとく、親がやりたいことをほとんど犠牲にして、肉体的にも精神的にも負担を大きく、背負い込んでもらい、初めて成り立つ制度といえます。

それだけに、制度にとって頼みの綱の「母親」が子離れをして、「親が背負ってきた負担は制度に担ってもらい、自分のやりたい社会参加をしていきます」などと動き出したら、現状の制度では立ち行かなくなるからです。

出典:文京区議会議員 海津敦子 公式ブログ「障害児産んだら人生終わったから、日本死ねっつーか死にたい」-障害のある子の親になること

私はフルタイムではありませんが働いていることで、子供のことを考えなくていい時間があるというのは気分転換になるし、家計の面でもかなり助かっています。

ですが同じように、障害児をもつお母さんの中には、仕事をしたいと思っていてもできない理由があるのです。

  • 子供たちの療育や病院への送迎がある
  • 障害の程度や地域によって(子供の集団活動が難しい場合)保育所や幼稚園の入園を断られる
  • 小学校に入っても学童保育を受け入れてもらえない

実際に私も、近隣の保育園に通っている同じ「自閉スペクトラム症」の子供をもつお母さんから、「障害を理由に退園になってしまった」という話や、療育に通わせる都合がつかずパートタイマーも辞めることになってしまったというお母さんの話は身近にあります。

私もフルタイムで働くとなると今のように療育に通ったり、通院するのも難しいと思うので、親の負担は相当大きいです。

 

障害児をもつお母さんがフルタイムで働くには、祖父母の協力や職場の理解があるなど、周囲のサポートがある人に限られています。

 

介護・子育ての主な担い手は、母親が94%を占め、父親は4%だった。母親の51%は日常生活の中で「介護・子育て」の比重が一番高いと答えたが、父親は「睡眠」が最多の38%。父親の81%は平日、育児や介護に携わる時間が1時間未満しかなかった。
就労状況を見ると、父親の95%が働く一方で母親は35%にとどまり、多くは年収200万円以下のパートタイマーだった。

出典:きむら社会福祉士事務所「障害児家庭、難しい仕事と育児両立 介護の負担重い母親!」

実際に障害児をもつお母さんは、働いている人も比較的少なく、パートタイマーが多いという調査結果もあります。

原因②:発達障害児を持つ夫婦間の考え方にズレがあること

障害のなかでも、発達障害に焦点をしぼって考えてみたいと思います。

川崎医療福祉学会誌の論文の一つによると、広汎性発達障害児をもつ夫婦は、少しずつ考え方にズレがあることがわかりました。

【広汎性発達障害児を持つ夫婦の考え方】

  • 母親の育児のおけるストレスは「子育ての不安」が多く、夫も理解できている場合が多い
  • 子育ての不安に対して、母親が父親に求めるのは「母親自身に働きかけるサポート」と「子どもに働きかけるサポート」
  • 子育ての不安に対して、父親は「母親自身に働きかけるサポート」がほとんどで「子どもに働きかけるサポート」はほとんどない
  • 「母親に働きかけるサポート」として母親が希望しているのは、「夫婦で話し合う」こと
  • 夫が実際にサポートしているのは「母親の話を聞く」こと

出典:岡野・武井・寺崎(2012) 「広汎性発達障害児をもつ母親の育児ストレッサーと父親の母親に対するサポート」

子育てをしていくうえで、夫婦の育児に対する考え方の違いは、健常児をもつ夫婦でも、発達障害児をもつ夫婦でも一度はぶつかる壁だと思います。

 

また広汎性発達障害児をもつ夫婦の場合、育児書に書かれているような「普通の育児」では通じない部分があるので、夫婦の育児に対する考え方の擦り合わせは重要です。

発達障害の自閉スペクトラム症といっても、一人でいることを好む「孤立型」、自分から積極的に他の人と関わろうとはしない「受動型」、積極的に他の人と関わろうとするけど、相手との距離が近すぎたりする「積極的奇異型」など行動や特性は異なります。

その子の特性に応じた関わりをもつことが大事なのですが、最初は親自身も手探り状態なので、うまいくいかないことも多々あるのです。

そのような状況の中で、夫は妻が「子育ての不安を抱えているんだろうな」と育児の難しさについてはわかっているものの、妻の話は聞いても、「子供」をサポートする(面倒をみる・引き受ける)視点が抜けている場合が多々あります。

夫が子供をサポート(面倒をみる・引き受ける)しようという意識がない場合、育児の負担のほとんどを母親が引き受けることになるのです。

私の夫は「子供」をサポートする(面倒をみる・引き受ける)のは大事だと思っているそうですが、それでも慣れていない「子供」の相手よりも「家事」のほうが楽だと言います。

夫としては嫌だからやりたくないというよりも、「子供と一緒にいる時間が長い母親のほうが、自分よりうまく子供の相手ができると思う」「育児(子供への対応方法)をこうしてほしいという母親の要望がわからなくて、手が出しづらい」、「子供の対応に困ったときの対応方法がわからない」といった理由から、できれば母親の私に子供のことはお願いしたいと思っていると教えてくれました。

妻は夫に子供にも対応してもらいたいと思っているのに、夫は妻に全部お任せにしたり、妻が子供の障害について勉強して対応しているのに、夫は自分のやり方で関わっていこうとする。またその反対のパターンもあるでしょう。

育児の仕方について夫婦間のズレが生じたままだと、夫婦の関係に溝ができてしまうかもしれません。

 

発達障害児をもつ親のストレスは高い

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障害児をもつ親の中でも、発達障害児をもつ親のストレスは高いといわれており、さらに健常児の親に比べて抑うつ傾向も高いといわれています。

発達障害は見えない障害だからこそ対応の難しさがあるのです。

その子の「できる部分」と「できない部分」が見えていれば、どのように子供の手助けをすればいいのかがわかると思いますが、手助けすべきことが見えにくい(わかりにくい)ので、長い時間一緒に過ごしている母親でも試行錯誤の繰り返しです。

発達障害児の感じ方や物の見方は、一般的な基準で考えられない部分もたくさんあるのです。

たとえば我が家の場合、長男が絵をうまくかけずに怒っていたところに、「うまくかけずに悲しかったんだね」と私が声がけしたところ、親としてよかれと思って言ったことが、本人(子供)にとってはすごく嫌だったようで「その言葉を聞いてムカムカするから、もう言わないで」と言われました。

こんな感じで育児書にあるような「子供の気持ちに共感」しても、そもそも考え方(捉え方・感じ方)が違っているので「暖簾に腕押し」が続くことも多く、私も育児に対する自信がなくなることがあります。

それでも「早期療育は効果がある」「このようにしたら、子供が理解できた」「成長を感じた」など情報をみると、自分が頑張ったら子供の成長の手助けになるんじゃないかという希望もあるため、育児を続けていけるのです。

そんな状況の中で、障害によって他の子供たちと比較してできない部分が目立つので、不安になったり落胆したりすることがあります。

またコミュニケーションがうまくとれずに他の子供とぶっかってしまうことが続くと、学校や保育園、幼稚園から親子ともに孤立しやすく、夫との育児に対する考え方のズレがあると母親のストレスはさらに高まるのです。

 

そして夫にしてみれば、「子育てをうまくできない母親」と見えたり、育児の難しさから放棄してしまっている姿、また母親は障害児をもつと健常児以上に育児に振り回されやすくなるので自分に手が回らないことなどで、夫も不満をもつようになります。

お互いにストレスが高い状態になれば、「離婚」という文字が出てきてもおかしくはないのです。

 

障害児をもつ夫婦が離婚を切り出す前に考えたいこと

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障害児をもつ夫婦は、子供の障害を受け入れられないなどの理由をつけて父親から離婚を言い出すことが多いようですが、母親が耐え切れずに離婚を切り出すこともあるようです。

発達障害の子供をもつ夫婦が離婚する場合、その家族がおかれている状況や夫婦の考え方など他にも色々とあると思いますが、根本にはやはり、母親が置かれている状況を理解したり、夫婦で一緒に「子供」をサポートしていくという視点がどちらか(または両方)に欠けているのだと思います。

 

障害のある子供をもつ母親にもっとも効果的なのは、夫からのソーシャルサポートです。多くの研究で結果が出ています。
お互いの影響は大きいものですので、できればお互いのサポートがよい方向に行くと、ストレスも少なくなっていき、離婚も防げるかもしれません。

以下にサポートになりそうな方法を書いておきます。

 

夫婦のサポート方法1:父親は他の障害児家族を知る

我が家の夫のように「子供とどのように関わっていいかわからない」、「手が出しづらい」など、母親を手助けしたいけど、何をしていいかわからないという父親がいたら、このような結果があります。

とくに父親が他の障害児家族と家族ぐるみのつきあいをしていると回答している場合、夫婦関係に関する母親のストレスが低いことが注目される。

出典:新美・植村(1985)「学齢期心身障害児をもつ父母のストレスーストレスの背景要因ー」

子供の年齢が学齢期となっていますが、父親も他の障害児家族と関わることで、母親のストレスが低くなるという結果もあります。
子供のことを母親まかせにせず、地域の障害者に関する相談できる場所を調べて行ってみたり、集まりに顔を出してみてはいかがでしょうか。

行くのはちょっとと思う人であれば、今は障害児をもつお父さんが書かれているブログもありますので、まずはそれらを読んでみるものありかもしれません。

私の夫の場合は「自閉スペクトラム症」の診断が出たときや、療育結果の説明などを受けるときに一緒に行ったことで、長男のことを少しずつでも受け入れられていると言っていました。

 

夫婦のサポート方法2:母親は父親へ具体的な説明をする

また母親も、父親が子供との関わり方がわからない、「子供」は母親がみることが念頭になってしまっている場合、子供と同じように夫にも時間をかけて試行錯誤しながら、伝わる方法を探してみてはいかがでしょうか。

何をしてほしいのかがわからない、またはそもそも気づいていないという人は、やる気がないわけではないですので、子供と同じように具体的に優しい口調で説明してあげてくださいね。

「して欲しくないこと」「して欲しいこと」をリストにして、我が家は冷蔵庫に貼ってあります。

 

夫婦のサポート方法3:夫は家族のバランスをとる

他にも父親が母親に対して、以下の引用できる部分があります。

夫が母親の気持ちを受け入れ、極端になりがちな母親の行動に歯止めをかけて気持ちのバランスをとるという役割を担っていることが示唆された。そしてこのような夫の役割が、夫婦や家族の連帯感に繋がると考えられる。

出典:岩崎・海蔵寺(2009)「軽度発達障害児をもつ母親への支援」

私は子供の為に必死になりすぎてヒートアップしてしまい、冷静な判断ができずに、逆にやりすぎて子供に負担をかけてしまうことがありました。

子供の為に「絵カード」をたくさん作って頑張っているのに、子供が「面倒くさい」と言って見てくれないことがありました。

「なんで見ないの?せっかく作ったのに」と絵カードを見せることだけを考えがちですが、そんなときに夫から「この前、自分でも言ってたけど、そのカード一方的な指示になってない?」と言われると、「あっ、そうだった」と冷静になれたりします。

障害児をもつ夫婦のあり方について

 

”自閉症の子をもつ夫婦の離婚率は80%”と高い結果があると書いてありましたが、なんとなく子供に障害があってもなくても、その根本には夫婦間の問題があると思います。

 

障害児をもつ親はどうしても、ストレスが高くなるので、夫婦で乗り越えるための壁が高く、もしかしたらそれが夫婦間の溝や離婚率にもつながっているのかなと感じました。

ただし個人的には、自閉症の子をもつ夫婦の離婚率が80%もあるのは高すぎる気がします。

環境にもよるのかもしれませんが、私の周囲では離婚になっているケースの方が珍しいので、夫婦が協力体制を作る方向へ少しずつでも向いていけば、お互いの育児の負担もだいぶ減るのではないでしょうか。

 

「自閉スペクトラム症」の長男と一緒にいることで最近思うのですが、「こうすれば、すぐ結果に結びつく」という正解ってないんですよね。

一生懸命子供と向き合って「あーでもない。こーでもない」と試行錯誤して、子供が少しでも笑っていられたり、子供の能力が少しでも伸びる方法を探すことは、夫婦関係にも同じことがいえるのではないかと思いました。

夫婦で協力したり、どんな形であっても大変なことを乗り越えたときに、また親としても強くなるのかもしれませんね。

 

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